労働基準法(略称:労基法)は労働条件における使用者の最低限の義務を定めた法律で、1984年に公布されました。労働基準法には多い改正されました。同法の運用のための労働基準法施行細則を基本として労働者休暇規則、従業員福利金条例、労働保険条例、労働者退休金条例や両性工作平等法、就業服務法、就業服務法施行細則などの関係法律があります。労基法を内部人事規定の準則とする会社も多く存在します。
性別工作平等法(旧(「ジェンダー平等法」、男女雇用機会均等法に相当)は2002年3月8日より施行され、2008年1月、11月及び2011年1月、2013年12月、2014年2月、6月、12月及び2016年5月に改正されました。この法律は、労働者やその家族に有利な環境作りを目的に、ジェンダー差別を禁止する規定を取り入れ、使用者が満たすべき職場条件も多く盛り込まれています。
原則として、求職者もしくは雇用者の募集、審査、採用、業務配分、配置、人事考課や昇進などにかかわるいかなる事項についても性別を理由とした差別的取扱いをしてはなりません。また、使用者は雇用者の結婚、妊娠、もしくは産休や育児休暇を請求したことを理由に解雇してはなりません。
この法律の特徴は、休暇として認める範囲を広げながらも最大期間は現行の水準を維持していることにあります。たとえば、特に論争の激しい生理休暇を盛り込んではいるものの、その休暇日数は病気休暇に加算されるとしています。生理休暇中の賃金計算も病気休暇の各規定に従います。産休も3ヵ月未満の流産まで適用するようになり、妻産休暇や育児休暇、家庭介護休暇などその他休暇についても定められています。また、比較的議論をよんだ規定として授乳時間や託児施設の提供などが挙げられます。このように、人的資源の配分は近年、事業者の重大課題のひとつになりつつあります。
この法律のもう一つのポイントはセクシャル・ハラスメントの防止です。事業者はセクハラ防止措置、相談窓口と懲戒規則を定め、社内で公示しなければなりません。セクハラ案件について、使用者は行為者と連帯して損害賠償責任を負うため、セクハラ防止や教育に注意を払わねばなりません。
特に注目すべき点は、性別を理由とした差別または不公平な扱いを受けた事実を雇用者が主張した場合、使用者は差別的扱いの性別以外の事由、または雇用者が従事する業務の特定性別事由の挙証責任を負わなければならないことです。ジェンダー差別のない環境作りのほか、事業者はジェンダー差別と取られる用語を書類から一切排除しなければなりません。一部地方政府(地方公共団体)の主務機関は事業者に対し、就業規則を改正し、性別工作平等法に関する規定を盛り込んだうえ再度届け出るよう正式に要請しています。事業者はこれを機に、規則の見直しと改正を徹底し、潜在リスクを最低限に抑える努力をしなければなりません。
台湾の全民(国民)健康保険(略称:全民健保)は、1995年3月1日より施行された強制的な社会保険で、個人の自助と社会の互助を通じてリスクを分担することを基本精神としています。そのため、所得、職業、身分に応じて保険料を請求する支払能力原則を採用し、また、被保険者をカテゴリー化して合理的な保険料算定を行うことで、システムの簡略化をはかります。全民健保の保険者は衛生福利部中央健康保険署です。
保険対象は普段保険料を支払い、疾病、傷害、出産などのときに、健康保険による医療サービスを受けることができます。全民健保の給付範囲は広く、疾病、傷害や出産などによる入院、外来受診はもちろん、歯科や漢方医による治療も含まれています。保険対象に重大傷病、出産、特定の予防保健サービスの受給あるいは遠隔地受診があった場合、一部負担金を支払う必要は一切ありません。
中華民国国籍を有し、台湾に戸籍を持つ者で、
外国人の場合、居留証明書類を所持し、全民健保被保険者または扶養家族の資格を満たしている者は、台湾での在留期間が満4ヵ月を超えたときから全民健保に加入しなければなりません。ただし、合法な外国籍雇用者は、雇用されたその日から全民健保に加入することになります。
社会救助法の規定に適合する低所得世帯の構成員。
全民健保の扶養家族は次の通りです。第1類から第3類、および第6類の条件を満たす被保険者の家族のうち、下記規定に該当する者は、保険の加入および解約を被保険者とともに行わなければなりません。
1.全民健保の保険料率は2016年1月1日から4.69%です。標準報酬は49段階に分けられており、最低額22,000元から最高額182,000元まで定められています。報酬月額が標準報酬の最高額を超えた場合でも、保険料は最高額で計算されます。
2.全民健保は、すべての事業者が保険加入事業所として、雇用当日より、従業員(台湾に戸籍を置く国民と居留証明書類を持つ外国人)を保険に加入させることを義務化しています。使用者は、使用者が負担すべき保険料と、当該雇用者が自己負担すべき保険料を併せて中央健康保険局に納付しなければなりません。
3.雇用者の保険料は、保険加入事業所(使用者)が60%、被保険者(雇用者)が30%を負担し、政府が残りの10%を補助するものとします。雇用者は1.365%(4.55%の30%)の自己負担のほか、扶養家族の保険料も自己負担と同じ金額を支払わなければなりません。ただし、扶養家族が3人を超える場合は3人で計算されます。また、扶養家族の人数が多い者の雇用を守るために、使用者と政府の負担分については、実際の人数を問わず、台湾における第1類から第3類被保険者扶養家族の平均人数(現在の平均人数は0.7人)で計算されます。よって、使用者が負担する保険料は、被保険者の標準報酬月額の4.641%( 4.55%の60%に1.7を乗じた数)になります。
中華民国国籍を有し、台湾に戸籍を持つ者で、全民健康保険(国民健康保険)は強制社会保険であり、全国民強制参加の健康保険です。全国民に平等に医療を受ける権利が守られ、国民は疾患時や怪我をした時、育児などの場合に医療サービスを受けることができます。中華民国国籍を有している人、台湾で戸籍を設けて6ヶ月以上の人、および台湾で出生し、戸籍登録を終えた新生児も、全民健康保険に参加しなければなりません。
また、本国国民の外、全民健康保険法の規定および主務官庁の公告に符合する居留証を所持している外国籍の人(香港・マカオ・中国籍の人を含む)は、一定の雇用者のもとで雇用された日より全民健康保険に参加する外、居留証を所持した日より6ヶ月目から全民健康保険に参加し、自らの医療上の権利を保障しなければなりません。
二代目健保は全民健康保険法における使用者の最低限の義務を定めた法律で、2013年01月01日に公布されました。
労工保険(労働者災害補償保険に相当)は、台湾労働者の社会安全が強制的に保障される法的基礎を提供するものです。
場に雇われる労働者、または交通、公共事業、新聞、文化、公益と協同産業の従業員で、年齢が15歳以上65歳以下の者については、使用者がそれぞれの労工保険加入手続を代行しなければなりません。労工保険の一般事故保険は、出産、傷病、障害、老齢、死亡の五つの給付項目があり、業務災害保険は傷病、医療、障害、死亡の四つの給付項目および失踪手当を提供します。
また、政府あるいは公・私立学校で働くが、公教人員(公務員・教職員)保険に加入していない従業員および、政府認定の職業能力開発機構で訓練を受けている者、雇われて漁業生産に従事している労働者、自営業や特定の使用者がなく同業組合に参加している者も労工保険の保障が受けられます。更に、法律により労工保険に加入した外国籍従業員や労働者も、労工保険の給付を受けることができます。前記労働者の労工保険加入後、たとえ保険加入事業所に所属する労働者が5人未満になっても、労工保険に引き続き加入しなければなりません。
労働者保険には、普通事故保険と職業災害保険が含まれます。現在、労働者保険の普通事故保険料率は、被保険者の毎月保険加入給与の9.5%です。現在の保険加入給与はもともと(最低保険加入給与は基本給与に準じる)でしたが、2017年 1月1日より、45,800元に引き上げられました。保険費は、雇用主が70%、被雇用者が20%の割合で負担するほか、政府が10%を補助します。雇用主は費用率が毎月の保険加入給与の0.09~1.06の範囲で計算される従業員の職業災害保険費を全額負担しなければなりません。
業務災害保険料率は「職業災害保險適用行業別及費率表(業務災害保険の適用業種と保険料率表)」に従って計算し、その費用は使用者が全額負担します。また、従業員が70人以上の保険加入事業所は、実績料率制度に従って毎年その業務災害保険料率を調整しなければなりません。
使用者は保険料を毎月被保険者の賃金から控除し、労工保険局に納付します。また、その他労工保険に関する事務も処理しなければなりません。
就業保険(雇用保険に相当)において、15歳以上65歳以下で、下の条件を満たしている雇用者は、就業保険法第5条第2項が掲げる各号の保険加入不可事項に該当する場合を除き、使用者あるいは所属機関を保険加入事業所に、被保険者として本保険に加入しなければなりません。1.中華民国の国籍を有する者。2.中華民国国内に戸籍を持つ国民と結婚し、居留許可を得て合法的に台湾で労働に従事する外国人、中国人民、香港住民やマカオ住民。なお、就業保険法には失業給付、就職促進奨励金、技能習得手当、育児休業手当、失業被保険者とその扶養家族の健保料補助金など五つの給付項目が含まれています。就業保険の保険料率は被保険者の当月の標準報酬月額の1%であり、保険料は使用者70%、雇用者20%、政府10%の割合で共同負担します。
国が保障する労働者の最低生活水準を向上させ、その消費力の維持をはかるため、2011年1月1日より、台湾経済の成長と平均消費者物価指数の上昇に対応した、調整済み「最低賃金」が実施されています。現在の最低賃金についてこれにより(2018年1月1日より)、月給制労働者の最低賃金は毎月21,009元から22,000元に引き上げられ、時給制も時給140元に調整されました。
休日 | 日付 |
---|---|
中華民国開国記念日 | 1月1日 |
旧暦の除夕(大晦日) | 旧暦の最終日、通常は1月中旬から2月中旬までの間にあたる |
春節(正月) | 旧暦1月1日~1月3日 |
和平記念日 | 2月28日 |
こどもの日 | 民族掃墓節の前日、通常は4月4日 |
民族掃墓節(お彼岸) | 通常は4月5日、春分の日程によって変わる |
メーデー | 5月1日 |
端午の節句 | 旧暦5月5日、通常は5月下旬から6月上旬までの間にあたる |
中秋の節句 | 旧暦8月15日、通常は9月中旬から10月上旬までの間にあたる |
国慶日(建国記念日) | 10月10日 |
継続勤務年数 | 有給特別休暇(日數) |
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6ヵ月以上1年未滿 | 3日 |
1年以上2年未滿 | 7日 |
2年以上3年未滿 | 10日 |
3年以上5年未滿 | 14日 |
5年以上10年未滿 | 15日 |
10年以上 | 1年増えるごとに1日追加され、最長30日までとする |
女性雇用者は、生理日により労働に困難が生じる場合、月に1日の生理休暇を取得することができ、年間3日以下の部分は普通傷病休暇に加算されなくて、年間3日を超えた場合、その日数は普通傷病休暇に加算されます。
女性雇用者の産前・産後は、就業を停止させ、八週間の有給産休を与えなければなりません。継続勤務時間が6ヵ月未満の場合は、賃金の半分を支給しなければなりません。
雇用者の配偶者が出産するとき、使用者は5日間の有給妻産休暇を与えなければなりません。
自ら処理しなければならない事由が生じたとき、労働者は私用休暇を取得することができます。私用休暇は1年間合計で14日を超えてはなりません。なお、私用休暇は無給です。
雇用者は、その家族構成員の予防注射、重大疾患あるいはその他重大事故の事由により、自ら介護しなければならない場合、家庭介護休暇を取得することができますが、その休暇日数は私用休暇に加算され、年間7日間までとします。家庭介護休暇の賃金は私用休暇の各規定に従います。労働者休暇規則第7条の規定では、労働者の私用休暇は年間計14日間を超えてはならず、私用休暇期間は無給になります。労使双方に法律の規定を超える優遇措置の約定があるときはこれに従います。家庭介護休暇が私用休暇と異なる点は、使用者が雇用者の家庭介護休暇を欠勤とみなし、その皆勤手当や成績昇給に影響を及ぼす、あるいはその他不利益な扱いをしてはならないことです。
労働者が結婚する場合、8日間の結婚有給休暇を与えます。
親族 | 有給休暇の日数 |
---|---|
配偶者 | 8日 |
父母 | 8日 |
祖父母 | 6日 |
配偶者の父母 | 6日 |
子 | 6日 |
兄弟姉妹 | 3日 |
配偶者の祖父母 | 3日 |
雇用者は勤続満6ヵ月以降、各子が満3歳になる前に、育児休業を取得することができ、その期間は当該子が満3歳に達するまでとします。ただし、2年を超えてはなりません。2人以上の子を同時に養育する場合、その育児休業期間は1子とみなし、最年少の子が2年間養育を受けることを上限とします。
労工保険老年(老齢)給付と労工退職金は、高齢者の経済的生活を保障する二つの制度です。受給条件を満たしていれば、雇用者は退職時に労工保険老年給付と労工退職金という二重の保障を享受することができます。
2005年7月1日から施行された労働者退職金条例(略称:労退新制)の規定により、個人退職金口座を基本としたうえで、それに年金保険制を付加した制度です。
労働者退職金条例(略称:労退新制)の規定により、雇用主は月額給与の6%を下回らない退職金を労働者個人の退職金専用口座に振り込みます。退職金制度は携帯性があり、転職や解雇による影響はありません。
ただし、2005年「労退新制」が実施される前の「旧労基法(労基法退職金制度)」が適用されていた際の被雇用者(旧制度の適用を選択したもの、または新制度の施行後新制度を選択し、かつ旧制度の労働年数計算を選択したものを含む)の各事業単位は、月額給与の2~15%の範囲内で月ごとに退職準備金を拠出することができます。
200人以上の雇用者を抱える事業所は、工会の同意により、工会が存在しない場合は許可された労使関係協議会の同意により、主管機関の許可を得て、保険法の規定を満たす年金保険に加入することができます。
労基法の規定によると、使用者が労働契約を解約するときは、一定期間前に労働者に予告をしなければなりません。勤続3ヵ月以上1年未満の労働者に対しては10日前、勤続1年以上3年未満の場合は20日前、勤続3年以上の場合は30日前に予告します。前述の予告を受けた労働者は、別の仕事を探すために、労働時間中に休暇を取得して外出することができます。その休暇は有給とするが、休暇時間数は1週間につき2日分の労働時間を超えてはなりません。解雇手当の計算方法は次の通りです。労働基準法を適用する前の勤続年数は、適用以前の法の解雇手当給付基準に従って計算します。適用する法律がない場合は、各事業所が制定した規定または労使双方の協議に基づいて計算します。労働基準法を適用した後の勤続年数に関しては、労働者が当該法律の退職金制度を適用する、あるいは労工退職新制度を選択したが旧制適用の勤続年数は保留にする場合は、当該法律の退職金制度を適用する勤続年数について、満1年ごとに平均賃金1ヵ月分に相当する解雇手当を支払います。端数月や勤続年数が1年未満の場合については、その割合に応じて金額を支払います。1ヵ月未満の場合は1ヵ月で計算します。
以下の事由のいずれかが発生した場合、使用者は労働者に予告のうえ労働契約を解約することができます。
労働者に以下の事由のいずれかが発生した場合、使用者は予告なしに契約を解約することができます。
使用者が前項第1号、第2号および第4号から第6号までの規定に従い契約を解約するときは、その事情を知ってから、30日以内に行わなければなりません。
労工退職金制度を適用する労働者の解雇手当は、使用者がその勤続年数に応じて、満1年ごとに1/2ヵ月分の平均賃金を支払います。1年未満の場合は、その割合に応じて支払います。支払額は最大6ヵ月分までとします。
労基法と労工退職金条例に従い計算した解雇手当は、すべて労働契約解約後30日以内に支払わなければなりません。
30人以上の雇用者を抱える使用者は、その事業性質に応じて、下記事項について就業規則を定めたうえ、主務機関に届け出て、公告しなければなりません。
職工福利金条例は、工場、採掘場もしくは従業員数50人以上の事業所に対し、職工福利金(従業員福祉準備金)を引き当て、従業員福祉事業にあてなければならないと定めています。職工福利金は、労使双方が参加する職工福利委員會(従業員福祉委員会)が管理・運用し、当該委員会の工会(労働者)代表は全体の2/3を下回ってはなりません。
事業所の職工福利金の引当方式は次の通りです。
職工福利金の運用範囲および項目、割合は以下のとおりです。
次の福利厚生に関する各措置の運用に割合の制限はありません。ただし、各項目の運用割合の合計は、当該年度の職工福利金収入総額の100%を超えてはなりません。また、従業員に現金を支給する場合は直接・一律を原則に実施し、当該年度の職工福利金収入総額の40%を超えてはなりません。
詳しくは労働部と労働部労工保険局と衛生福利部中央健康保険署
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